- 2015-3-31
- 鉄道・電車旅
【2015/12/15追記】先日、鉄道の裏技的なテレビ番組で「房総半島一周140円の旅」が放送されてから、このページのアクセス数がすごく多くなりました。
鉄道のルールを理解せず勝手な判断で大回り乗車すると、不正乗車や追加料金など、思わぬペナルティをくらうこともあります。最初は必ず、鉄道に詳しいお友達と一緒に楽しむのがいいでしょう。
また、大回り乗車専門のガイドブックも出ていますので、興味ある人はこちらで勉強してからお出かけください。 ※以前掲載していた本が品切れになったため、別の本に更新しました。
【2016/1/8追記】東京都区内~山科~金沢~東京都区内のように、途中下車ができる長距離の大回り乗車については、こちらをご覧ください。お祭り見物に役立つ情報もあります。
「大阪→京都 21420円 大回り乗車片道切符の旅」
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最初に言っておきます。これは違法・不正乗車では決してありません。
「大都市近郊区間の乗車特例」や、「選択乗車」「大回り乗車」とも呼ばれ、関西では情報番組や情報誌などで裏技レジャーとして取り上げられるほどのポピュラーな旅として知られています。
時刻表巻末の「きっぷのルール」ページによると、
「大都市近郊区間内の乗車券 東京・大阪・福岡の近郊区間内だけを通る乗車券の運賃は、実際の乗車経路にかかわらずもっとも安くなる経路を使って計算できます。」
と書かれています。これの応用です。
余談ですが、スイカやイコカ、イオカードなどのプリペイドカード類で電車に乗ると、いちいち経由を指定するわけにはいかないので、こうした制度ができたのだと思います。この制度がなかった昔は、大和路快速で大阪~奈良まで乗ると、出口改札で追加運賃を取られたという話もあります(最短区間は片町線木津経由)。
実際の大都市近郊区間は、こちらをご覧下さい(JR東日本のサイト参照)。
近郊区間大回り乗車の主なルールは、
・その日の終電までに旅を終える(距離に関係なく有効期間1日)
・途中下車不可(途中下車駅までの最短距離の運賃を取られる)
・同じ駅や路線を二度通るのは不可
・定期券での大回り乗車は不可
・元の駅に戻るのは不可
・近郊区間外へ出て戻るのは不可
(例えば亀山や敦賀へ行ってから戻るのはダメ)
・区間内の新幹線はのぞく(米原~新大阪間と西明石~相生間は近郊区間内)
・在来線の指定席・グリーン車・特急・急行は、別途乗る区間の追加料金を払えばOK(乗車券はそのまま有効)
例えば天王寺から大阪環状線を一周して天王寺まで戻るのは、ダメ。
立花から東海道線・琵琶湖一周・東西線・福知山線→谷川→加古川→甲子園口も、一筆書きではあるが同じ駅(尼崎)を二度通るのでダメ。
さらに余談ですが、この制度があるために、東京~熱海・伊東まで普通に切符を買っても、途中の横浜や大磯や小田原などでは途中下車できません(切符は回収されます)。
そんなときは、(新幹線が平行してる区間でなければできませんが)平行する新幹線は近郊区間の対象外になることを逆にいかし、
「新幹線経由で乗車券を発券、新幹線特急券は買わずにそのまま在来線に乗る(新在同一視の原則)」
こうすれば選択乗車の対象外となり、大回り乗車はできなくなる代わりに、101km以上であれば有効期間は2日以上となり、途中下車もできます。
※2015年3月末現在の規則。ルール変更・近郊区間の変更にはご注意ください。
とくに最近、関東の近郊区間は黒磯や松本あたりまで伸びてます。
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いよいよ本題の、大回り乗車の話になります。
今回のルートは、
JR俊徳道7:22発 → 久宝寺・天王寺・和歌山・奈良・加茂・柘植・草津・米原・近江塩津・大阪・京橋・放出 → JR河内永和(19:03着)です。
ICカード類でも規則としては大回り乗車が適用されますが、改札を出るときに時間超過でピンポンがなるのはうっとおしいので、あらかじめ自販機で切符に引き替えしてから乗ります。
では、出発進行!
まずはおおさか東線を南下し、久宝寺乗換、快速で天王寺へ。
ここから紀州路快速に乗り換えて和歌山へ。
桜の時期だったので、山中渓駅通過時には、こんな絶景が見られました。
自分ではうまく撮れなかったので、動画サイトの画像を埋め込みします。
単線のローカル線、旅情はたっぷりだが、通勤電車にありがちなロングシートだったので腰が痛いのなんの(笑)。
和歌山線の車窓をお楽しみ下さい。
橋本駅では、南海の観光列車「天空」に遭遇。
吉野口駅では、近鉄電車の阿部野橋行き急行に遭遇。
桜井線に入り、皇族専用貴賓室もある畝傍駅に。
情緒ある駅舎だが、なにせ途中下車できない旅なので、そのまま見送る(涙)
三輪明神の大鳥居が車窓に。
安産祈願で知られる帯解寺のあるこの駅もスルーして、
和歌山から約3時間がかりで奈良に到着。
国宝のご本殿が20年に一度、特別公開される春日大社のアピールがなされている。5月31日までなので、大回りなしで一度見に行きたいものです。
ようやく奈良まで来ました。まだ半分もいってないかも。
奈良を出発、大和路快速で加茂まで。
やっとセミロングシートの車両にあたるも、わずか3駅で加茂に到着。
加茂から柘植までは、今回の旅で唯一のディーゼル車両でいきます。
ガラガラガラガラ・・・
加茂のつぎ、笠置付近の桜並木と渓谷の車窓は今回の旅でのハイライトの1つ、ぜひ居眠りせずに見ておきたいところだ。
関西本線の伊賀上野付近。
このトンネルが懐かしい形だ。昔の汽車での旅を想像したくなる。かつて、東京発湊町行きの急行「大和」もここを通っていた。
柘植に到着。草津線に乗り換え。ここから再び電車の旅だ。
防風林か? 不思議な森のかたちだ。
草津到着。
ここから東海道線の新快速に乗り換え。
貨物列車が通過していくのも、鉄道旅の気分をもりあげてくれる。
新快速であっという間に米原到着。
青春18な旅なら、大垣行きのこの電車にのるところだが、
駅の立ち食いそばで遅いランチ。
いよいよ、琵琶湖一周だ。北陸線へ。
新快速、長浜経由の近江塩津行きに乗換。
高槻、じゃなくてたかつきを通過。
近江塩津で、新快速播州赤穂行きに乗換。
ここから琵琶湖をじっくりと眺めよう。
参考までに同じ区間、サンダーバードなら、こんな車窓が味わえる。
同じ区間で逆方向、こんなのもある!
私もこんな車窓、見てみたかったなあ。
あとは、湖西線を京都まで走り大阪で乗換、京橋と放出で乗り換えて、
19時3分、おおさか東線のJR河内永和駅にゴール!
さあ10時間以上も旅して、この切符で、無事改札を通れるでしょうか?
通れました。
JR俊徳道7:22発 → 久宝寺・天王寺・和歌山・奈良・加茂・柘植・草津・米原・近江塩津・大阪・京橋・放出 → JR河内永和(19:03着)の、12時間近くに渡る電車旅を、何とわずか120円で楽しむことができました。
体力がいる旅なので誰にでもおすすめできるものではありませんが、時間と体力がある方はぜひチャレンジを。
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