最近よく見られる「オンライン祭り」。
コロナの影響で開催できない祭りが、YouTubeなどでライブ中継されるのだが、つまらなくてすぐ消しちゃうのと、最後まで見入ってしまうものとがある。
何が違うのか、何となく条件が見えてきたような気がするので、本日のブログネタに。
【ご注意】私の仕事内容として「祭りの運営者側ではなく、あくまで一般見物客・参拝者の目線からお祭りを語る」ことを趣旨としていますので、あらかじめご了解のうえ、以下をお読みいただければと思います。
1.祭り自体の性格がオンラインに向いていない
主に体験型の祭りに言えることではないかと思います。
特にオンライン祭りに向かなさそうなのが、タイのソンクラーン(水掛け祭り)。旅番組などで見たら、自分も現地に行って水を掛けたくなるというもの(笑)。
余談だけど、あえて着物でソンクラーンに挑戦する根性はすばらしいです!
着物が大丈夫だったかは気になりますが。
あと、神輿や裸祭りの類いも、オンライン中継だと、テレビやYouTube見てるのと同じ感じになるし、そもそもコロナウイルスの影響を考えたら三密の最たるものなので、ライブ中継で祭りの再現自体が難しいといえます。
ライブ配信というより、過去の映像を流す感じにならざるを得ないでしょう。
越後浦佐毘沙門堂裸押合大祭
深川祭
2.オンライン祭りでの企画や体験内容が面白みを感じない
「何もそれをオンラインでやらなくてもいいのでは」という企画。
あまり良い例は思いつかないですが、例えばオンライン中継で縁日(夜店)の様子を見せられても、お預けを食らう感じでしょう。やはり現地に行って、たこ焼き食べたり、金魚すくいなどで遊んだりしたいもの。
その点、お囃子の中継はオンラインでも、見ているだけでもある程度は雰囲気が楽しめそうです。ねぶた囃子の中継も楽しめました。
ただ、個人的にはお囃子よりも、過去のねぶた運行動画のほうが迫力があってよかったです。
愛染祭の「オンライン秘仏ご開帳」というのはいいアイディアかもしれません。例年、祭りの時期に秘仏のご開帳が行われ、それのオンライン版ともいえます。
盆踊りの場合、YouTubeなどでライブ配信のみのものと、ZOOMなどのミーティングソフトを使って双方向参加型企画にする場合とがあります。
元々の盆踊りがおわら風の盆みたいに「観客は見るだけ」の場合は前者、郡上おどりみたいに観客参加型の場合は後者のほうが向いているようです。
郡上おどりは、オンライン配信に加え、『うちで一緒に踊ろう』という企画で、ZOOMを使っておうちで一緒に踊る企画が定員制で行われているようです。
3.カメラワークや映像の作り込みで損をしてるケース
例えば、ステージを正面からの一方向で流し続けるもので、現地で見たらそうでもないが、オンラインで一方向から見ていると退屈さを感じてしまう祭り。
カメラワークとか、音響、編集など、テレビ番組の制作ノウハウが生きてくるところではないかと思います。
あと、中継している回線が貧弱で、よくコマ落ちや音声に不具合が生じたりするのも、見ていてイライラを募らせることになるので、極力回線には工夫をしたいところです。
パソコンやモデムなど、通信機器のトラブルで企画が台無しになってしまうこともよくあること。基本的な対策ですが、
・充分なリハーサルをやっておく
・機器や通信回線のバックアップを用意しておく
・生中継が上手くいかなかったときのために、あらかじめ録画した映像なども用意しておく
という準備をしておくと、不具合が即座に修正できたり、そもそも不思議とトラブル自体も避けられるものです。
カメラワークと映像の美しさが際立っていたのが、天神祭神事ライブ中継。きっと映像のプロがしっかり入り込んでいるだけでなく、神職自らも主体的に制作に関わっていたに違いないと思います。
ダイジェスト映像が公開されています。
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今日は、オマツリジャパンさんの「オンライン夏祭り2020」を6時間以上にわたって見続ける。
きちんと映像制作のプロがついてるそうで、見ていてイライラはあまり感じませんでした(一部外部の中継で、映像の荒いものやコマ切れはあったものの、それはご愛敬か)。
踊りの踊り方とか、祭りの意味を考える討論会など、お勉強系のコンテンツは、まさにオンライン向きだなと思いました。あと、「現地に行っても見ているだけで楽しむ祭り」も、オンラインに馴染みやすそうです。
今回のオマツリジャパンさんの企画にはありませんが、農村歌舞伎とか、伊勢大神楽とか、越中おわら風の盆あたりも、「一般のひとは基本的に見てるだけ」のものは、オンラインに向きそうだと思われます。
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