野良着

某所から依頼を受けた、お祭りクイズの問題を考えるお仕事のために、府立図書館へ向かう。どんな本を借りたかは、クイズの対策を考えられるとまずいので秘密(笑)。

で、着物好きなので借りたこの本が、とても興味を引く。着付け教室などでは絶対に教えてくれない、働く着物の着こなしがこれでもか、とかかれているから。


野良着 (ものと人間の文化史)

野良着といえば、祭りの衣装とは対極を行くようなものと思われがちであるが、野良着が祭り衣装そのものになることもある。それが、「お田植え祭りの早乙女さん」である。

今では完全に祭り・神事のための衣装となっている、おなじみの絣の着物にたすき掛け姿という、田植え用の着物。着物が野良着であり普段着であった時代でも、田植え用の着物は、普段の野良着とは分けて考えていたそうだ。

この本によると、田植え用の着物は、新品の絣の着物か、もしくは(洗い張りなどで)洗い清めて綺麗なものを着用するという風習があったとか。早い話が一種の晴れ着である。綺麗な着物だと一見、作業効率が落ちそうなものだが、一種の神事だから、晴れ着を着ると田の神様がお喜びになる、という思想だという。

悲惨なのは、水中に転んでしまったとき。「泥田で行水」といって笑い事で済まし、泥でずぶ濡れになった着物は着替えず、そのまま田植えを続けなければならなかった。田植えはみんなで一斉にやらないといけないので、着替えている暇などないのだ。
田植えは独身女性にとって、嫁の品定めの場でもあったわけで、泥だらけになった着物姿は最大に恥ずかしいに違いない。でも周りで見ている人は笑えるだろうなあ。

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