- 2019-3-11
- 祭りの知識
きょうで東日本大震災から8年。
共同通信のニュースで気になる祭り関連の記事があるので、引用する。
岩手や福島、祭りの4分の3復活 震災で中断、担い手不足が課題(Yahoo!ニュースより)
震災発生時に指定されていたのは272件で39件が中断したが、うち29件は復活した。中断した39件の県別で最も多いのが福島の25件。「北萱浜の天狗舞」(南相馬市)など15件は再開したが、「長者原じゃんがら念仏太鼓踊り」(大熊町)など10件は中断したままだ。
この記事には複数のポイントがあるので、箇条書きで整理してから考えていきたいと思う。
・「無形民俗文化財に指定された祭り」は、全ての祭りではなく、その地域を代表する有名かつ特徴的な祭りで、しっかりした保存組織を持っている祭りであるということ。
全ての祭り、を分母にとると、もっと中断した祭りは多いだろう。
・「担い手不足という課題」は、震災がなくても高齢化が原因でおこることもあるが、震災で遠い避難先にいるから祭りにかけつけられない、という問題もある。
別の記事では、避難先でサラリーマンとなり、祭りのために休めなくなったという人もいる。
・仮に祭りが復活したとしても、行事自体は復活しても元の場所でできなくなったというケースも多い。
祭りは多くの場合、開催場所が非常に重要な意味をもつ。大漁祈願の祭りを山中や海が近くない都市部で行っても、あまり意味を持たないことは想像できるかと思う。それでも芸能部分だけでも伝承していって元の場所に帰れるようになってから復活できるように準備することは大きな意味を持つが。
やはりどうしても命と生活の再建が優先で、祭りは生活に余裕が出てからとなるのはムリもないが、まだ福島では物理的に帰宅できない人も多い。
除染の汚染物を貯蔵する「中間貯蔵施設」が建設されるため、立ち退きを迫られる地域も多いと聞く。
行事自体は復活しても違う場所で行われるケースもある。
人ごとではなく、今後、原発事故がおこったとき、あなたの街・私の街でも起こりうる話でもある。
たとえば、大飯や高浜や美浜の原発にもし何かあったとき、風向きが悪ければ京都や滋賀の祭りも中止に追い込まれるかもしれない(それ以前に、近畿圏が広く避難地域に指定されてしまう可能性が高いが)。
あらかじめ、よく考えておきたい問題である。
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