よく(特に江戸の)お祭り好きの性質を指すことばで「きっぷがいいねえ!」というセリフが聞かれますね。
その「きっぷ」ってどんな意味で、どんな漢字を書くのか、考えてみたことありますでしょうか?
調べてみました。
実は「気っ風がいい」とか「気風がいい」と表記し、気前がいいとか、決断が早いとか、思い切りがいいとか、さっぱりとした性格、という意味だとか。ケチ臭かったり、ウジウジと迷ったりしないということか。
半纏姿でさっそうと祭りへと飛び出していく、そんなかっこいい祭り人の映像が思い浮かびそうな言葉ですね。
なぜ今日、急に「きっぷがいいねえ」の意味を調べようと思ったのかというと、大阪の京橋OBPで開催されている「鉄道博」というイベントにて、鉄道グッズコーナーで使用済み硬券が売られていて思わず衝動買いしたからであります(笑)。
これが衝動買いした硬券。
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きっぷの話が出たついでに、「きっぷ」と「切符」の違いってご存じでしょうか?
以前、東洋経済オンラインで「きっぷ」と「切符」の違いを解説した記事がSNSで盛んにシェアされているのを見てびっくりした記憶があるのですが、単なる表記の問題でもなければ、若年者向きに漢字をひらがなになおした言い方でもなく、JRの旅客営業制度上、「きっぷ」と「切符」とは厳然と区別されているのです。
きっぷ 旅客から運賃・料金を受け取った際に交付される有価証券
乗車券、特急券、グリーン券、寝台券など
切符 旅客関係以外で客から現金を受け取った際に交付される証票や、内部帳票類のこと
手回り品切符、一時預かり品切符、遺失物切符など
だから駅の案内看板では、「自動きっぷうりば」「JR全線きっぷうりば」というように、ひらがなで「きっぷ」という表記がなされているわけですね。
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さらについでに、「乗車券」と「乗車票」と「乗車証」との違い。
「乗車票」と「乗車証」は、よほど電車に乗り慣れているか、鉄道会社の株主や職員など、特殊な環境にある人以外はなかなかなじみがないものかもしれません。
乗車券 鉄道事業者が旅客から運賃を直接受け取った際に交付されるもの
上記の「きっぷ」
乗車票 鉄道事業者以外の者(旅行会社など)が代理で旅客から運賃を受け取った際に交付されるもの
例:振替乗車票、団体旅客乗車票、契約乗車票(マル契乗車票)※
乗車証 鉄道事業者が旅客から運賃を受け取らず乗車を認める際に交付されるもの
例:株主優待乗車証、職務乗車証、定期券購入用乗車証
※契約乗車票:「ぷらっとこだま」など、旅行会社で鉄道利用のツアー商品を買うと発行される、きっぷのようなもの。これを使って改札を通る。
通常の「きっぷ」とは変更やキャンセルなどの扱いが全く異なるので要注意。基本的に、一度買ったら列車変更も区間変更も一切できないし、乗り遅れたら無効になる(後続の自由席にも乗れない・商品によっては例外あり)。
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もうひとつおまけに、「特急券」と「急行券」のちがい。
特急券は特急に乗れる、急行券は急行に乗れる、という違い以外に意外な違いがあるのです。
それは、
「特急券」は指定席
「急行券」は自由席
単なる「特急券」には座席指定の番号が書かれていますし、単なる「急行券」には乗車区間と料金しか書かれていません。
その昔、昭和40年代くらいまで、国鉄の特急は新幹線も含め全車指定席でした。
一方、急行は自由席が主体の列車で、指定席といえば寝台車とか、多客時の臨時列車など、一部の列車・車両に限られていました。
自由席用の特急券は「自由席特急券」というタイトルになっていますし、急行で指定席に乗るときは「急行券」のほかに「指定席券」が別に必要です。大抵の場合、急行券と指定席券は1枚にまとめられていますが。
急行「はまなす」の廃止以降、JRの旅客営業制度上は「急行」が残っていても、自由席のある急行は現在、基本的に運行されておりません。たまに臨時列車やイベント列車などで「急行」という種別の列車が走ることがありますが、そのほとんどが全車指定席です。
数年前までは旅行業務取扱管理者試験を受ける際、特急券と急行券の扱いについては鉄道運賃計算の分野で必ず問われた部分なのですが、急行がほぼ全廃されましたからねえ。
今回、衝動買いした硬券がきっかけで、いろんな「きっぷ」について調べるきっかけを得ました。
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