- 2014-7-7
- 祭りの知識
七夕だけど、雨が降っていたので結局貴船の水祭にも、北野天満宮や地主神社の七夕祭にも行かず。
佛教大学四条センターでの公開講座「京都で考える民俗学」シリーズで、「祇園祭の変遷と現代」という、個人的にとてもそそられるテーマの講座に行ってきました。
ここから先、教室内は撮影等一切禁止なので、配布されたレジュメのタイトル部分だけをぱちり。
この日のメニューは、1時間半のコースで、以下のように盛りだくさんなものでした。
・祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)の創始
・御旅所祭礼とチマキの民俗学的意味
・鉾と山のルーツ
・風流拍子物と傘鉾
・明治以降の祭りの変化
よくヤフー知恵袋などを見ていても、「鉾と山はどう違うんですか?」という質問が出ていたりします。「人が乗れるのが鉾、乗れないのが山」という答えが時々出ますが、南観音山や岩戸山みたいに人が乗れる「山」もあります。
だいたいは、
「鉾は金属の寄り代が、山には松がたっている」
という説明であっているようなのですが、それだと船鉾や傘鉾の類はどうなる?、という疑問が。※
これらの鉾には別途、剣鉾が備わっているかもしれないし、船や傘そのものを寄り代にしているという説もあるらしい。ちなみに剣鉾とは何かは、こちらの記事がわりと分かりやすいです。
でも鉾と山で、それ以上に違うのが、
「元々の役割が違う」
「鉾」は、剣鉾などの金属製武器を真木の先につけ、その周りで鉦や太鼓などに合わせて踊って練り歩くという、「風流拍子物」がそもそもの起源だそうな。綾傘鉾の山鉾巡行を見てると時折「棒振り踊り」が見られます。
だから傘鉾や船鉾も含め、鉾には必ずあるのが「祇園囃子」だとか。
京都には祇園祭以外でもこの「剣鉾」が出る祭りがたくさんあります。
「山」は、武器ではなく見物客や神様の目をひくために、趣向を凝らした「作り物」「見世物」の一種。いわば「移動舞台」なのだとか。からくり人形などが演じられ、そして、山というからには、常緑樹である松や杉を備え付ける。
南観音山のような人が乗れる大きな山でも、先端は金属製の剣鉾ではなく、松の木なわけです(京都へ行ったらチェックしてみてください)。
山の発展系が、高山祭のからくり人形だったり、能登の「でか山」だったりします。
※[2017.7.24更新]
船鉾保存会の方に伺ったところ、昔の船鉾には、鉾の条件となる「真木と鉾頭」があったそうです。洛中洛外図屏風(リンク:Wikipedia)をよく見ると、帆船のマストのように立っている真木と鉾頭が見えるかと思います。
今の綾傘鉾は傘だけの鉾になってますが、江戸時代の綾傘鉾は写真のように曳鉾だったとか(模型が宵山で展示されてました)。
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